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2016/12/28

ERODED、「IN」メンバーコメント

ERODED、「IN」再発に寄せてメンバー武田(Dr)、山本(Vo)がコメントを寄せてくれました。
是非ご覧下さい。

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山本(Vo)

山本(Vo)

イローデッド再発にあたり、当時の事を思い返してみましたが、何だか当時の僕達が、何も知らず、がむしゃらで、一生懸命もがいている子供達のように見え、少し愛おしく思えました。

インターネットも携帯も無く、情報なんか少しのファンジンくらい、そして当たり前のように金もない。
そんな地方のキッズが、精一杯かき集めたレコードやテープ、何ヶ月に1回かのツアーバンドのライブ、そんな僅かな目印を頼りに始めたバンドでした。 (後に聞いた、東京シーンの皆の当時の話に出てくる、当たり前、標準の知識のレベルが違い過ぎて、驚きました。僕ら何も知らなかったんだなと...) 恐らく、どこの地方都市でも似たような状況だったんだろうなと想像します。
今更のようにレーベルメイトのTERROR FECTORの偉大さにも気付きます。

新しいグラインドという音楽に魅せられ、プレイの仕方も何もかもが分からず、自分たちで試行錯誤し、時に見る各地のバンドに打ちのめされながら、作っていったのが今回再発されたCD2枚組です。

時代は変わり、情報は溢れ、あの頃のような苦労はもう無いでしょうが、あの頃のようなバンドももう産まれにくいのかもしれません。

何がいい何が悪いなど個人の感性の問題で、昔がいい今がいいも無いと思います。
あの頃に戻れないし戻りたいとも思いません。
僕にとっては、イローデッドの後に活動した324の方が重要だったりもします。

(それですら10年位過去の話になってしまいました。)

ただ、あの時新しいグラインド/デスシーンであんながむしゃらな奴らがいて、何か創り出そうとしていた記録には触れてみて欲しいです。

山本将雄

武田(Dr)

武田(Dr)

「岡山の奇跡」

この言葉は今、巷では桜井日奈子なる美少女を示す言葉になってしまった感じがあるのですが、しかし遡る事24年前、日奈子の日の字も存在していなかったあの頃、岡山の奇跡という言葉はERODEDの為にあるような言葉だった。

「何を偉そうに!」「大袈裟に!」等のご意見も勿論承知しております。
しかしあんな田舎の岡山でグラインド、デスメタルのバンドを組む為に犬、猿、キジじゃなく人間のメンバーが揃った事、それが奇跡だったのです。

そして結成して試行錯誤を繰り返すその中で個人的に奇跡と呼べるものが少しずつ増えていきました。
それは僕の人生の中の一つの「武田の奇跡」でもありました。

以前はツービートは出来るものの倍速のグラインドのキックが踏めなかった。
こんなにも好きなビートなのにモノに出来ないもどかしさ。悩みましたね。

「こんなにも出来ないのなら両足モサモサグラインドでも出音がそれらしく聴こえるならそれで良いだろう、ひょっとしたら目から鱗の様な何かしらの簡単に出来る都市伝説みたいなコツでもあるんじゃないか?左足をダミーで踏んで両足バタバタさせてりゃ勢いで出来るんじゃないか?外人は吉備団子じゃなく肉を食っているから出来て当然なんだ、」

等色々自分へのいいわけも含めて悪戦苦闘してました。でもやはり簡単に習得出来るコツも無くいつまでもそれを探すくらいなら、と思いもうヤケクソになってひたすら毎日2~3時間はスタジオで足回りの特訓ばかりしていました。
それで出来る様になるかは分からないので無駄な時間になるかもと思いつつも延々連打して疲れたら止めないでスピードダウンして回復したらまたスピードアップしての繰り返し。
連打練習のテンポは欲を出して速いテンポという次のステップに行きたい自分を抑え、確実に踏めているそのテンポから攻めて行く事が重要だった。

ビーターがヘッドにめり込む感じが大好きで、それを感じたくていつも裸足でプレイしていました。
急がば回れという言葉は本当に良い言葉で、回り道した結果、グラインドのキック連打と同時に音量も手に入れる事が出来ました。
速けりゃ軽い、重けりゃ遅いという地球の重力の既成概念をも壊してやりたかったので、速くて重くデカいを一番の理想としていました。

今グラインドはブラストビートととも呼ばれサウンド面でも進化を遂げ、多様化していますね。
個人的には「擦り潰す、粉々にする」の意であるグラインドって言葉が好きだし、シンプルに片足のみで肉体の限界まで交互運転するだけのプレイが好きですね。
しんどくて肉体と精神の葛藤が手足に伝達されてバスドラやスネアという楽器を通した結果のボリュームの強弱、揺れ動く速度とガッツで最後の1打まで滑り込みセーフで打てた喜び、ライブハウスのそこにある機材だけでほぼ再現する潔さ。
ツインペダルやツーバスが無いと出来ないとか、強弱を台無しにする様なトリガーを仕込む考えなんてドラムよりブラストが好きみたいで寂しい気がする。
勿論一定のフラットな音量もビートも大事です。バンドは人間がやってる以上絶対にROCKになる。
失敗から産まれる斬新なアレンジ、フィルイン、ブレイク、間、といったあらゆる可能性を避妊するようなリハーサルや本番なんてつまらない。

そんな想いがこの再発のERODED「IN」にはしっかりと封じ込められています。
失敗から産まれたフィルやアレンジがあり、それこそただの失敗もあり、絶頂期のスピードもあり、ツーバスの足が絡まったり、しんどくて遅くなったり、効果的で無い無駄なフィルも沢山ありで、結果とってもROCKな作品に生まれ変わった様に感じます。

では最後にこのCDを買ってくださった皆様、ありがとうございました。
そして一つお願いがあります。まずお手持ちのCDデッキの電源を入れてください。
トレーを開けて昨夜聴いていたつまらない恋愛の歌のCDをまっ二つに折り窓の外へ放り投げて下さい。
そしてこのCDをトレーに乗せて下さい。さぁ、準備はできましたね。
ERODED軌跡の旅へようこそ。
ではこれからあなたの頭を粉々に粉砕する事をお約束いたします。

special thanks to
早川jumbo朋尾(ritual records)
and eroded

drums 武田





HELLCHILD TERROR FECTOR TO TEH EDEN EVERLASTING HELL DAMNATION